「JFE BallastAce®」の特徴
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シンプルな機器構成
- 設置スペースの確保が容易 (処理量の大きい装置ほど有利)
- 少ない消費電力で、発電機への負荷を抑える
- 駆動部の少ない機器構成ゆえ、故障リスクが低く、操作・メンテナンスも容易
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処理方式
- 実用化されてから約100年の信頼された技術である、塩素殺菌処理を採用
- 中和剤で処理水は還元されてから排出
- 薬剤の注入量は全自動で制御
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製剤薬剤のメリット
- 複雑な生成装置は不要
- 塩分濃度・水温・濁度に係わらず高い殺菌効果を発揮
- 今後厳しくなる規制にも対応が可能
設計思想
バラスト水処理装置には、薬剤注入、海水電気分解、紫外線、酸欠等の様々な処理方式があります。装置の開発にあたっては、当初から海運会社の協力を得て、船との親和性を保つことを心掛けました。その結果、フィルターと薬剤を併用した複合処理方式の採用により、高いレベルの処理性能と環境影響の最小化の調和を保ち、さらに配置スペースや電力容量等の制約条件の多い船舶への搭載を可能としました。処理性能上の特徴は、①できるだけ多くの生物をフィルターでこし取り、逆洗機能でそれらを元の生息海域へ戻し、②最小限の殺菌剤で処理し、③中和剤により処理水を還元して排水するというものです。
フィルターは、舶用エンジンの潤滑油フィルターに使用されていた技術を応用し、大量の海水処理ができるように適応させました。フィルターにより、殺菌剤に耐性のある大きなプランクトン類が除去され、また、たとえプランクトンがフィルターメッシュを通過したとしても、その体に損傷を与え、耐性を低下させる効果が期待できます。フィルターを通り抜けたプランクトン及び菌類は、その後工程でバラスト水に注入される殺菌剤により、殺滅処理されますが、その殺菌剤量は、フィルターの効果によって、薬剤単独方式のシステムに比べ、極めて少なく抑えられます。このように、フィルターと最適な薬剤投入量の組み合わせにより、IMOが定める処理基準(D2基準)を満足しながら薬剤使用による環境影響を最小にとどめることを実現しました。
さらに、システムのソフトウェア(殺菌剤投入量・バラストの開始~終了までの薬剤投入シーケンスの細かな設定・中和処理までの保持時間)は、環境に合わせた処理能力の調整に柔軟性があるため、今後さらに厳しくなると予想される処理基準にも対応が可能です。
処理フロー
薬剤
JFE BallastAce®では、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)を主成分とする液体殺菌剤(TG Ballastcleaner®)を使用しています。次亜塩素酸ナトリウムは、一般的に、上下水道・プールの消毒や野菜洗浄に使用されている、汎用的な薬剤です。
また、デバラスト時には、残留塩素を還元するため、亜硫酸ナトリウム(Na₂SO₃)を主成分とする中和剤(TG Environmentalguard®)を使用し、排出基準を満たした処理水が排出されます。この中和剤は、食品関連の酸化防止剤として幅広く利用されており、汎用性の高いものです。
搭載イメージ
機器毎のフレキシブルな配置(*)が可能です。まとまったスペースは必要ありません。
(*) 各機器据付要領を守ってください。